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幸福の観測所

反社会的宗教団体「幸福の科学」の批判を中心としたアンチカルトブログです。

間違った「霊的人生観」の克服

教義批判

幸福の科学」を退会しても、「幸福の科学」で教えられたことが抜けない人が多いです(私も含めて)。脱マインドコントロールのため、一つ一つ、教義を検証していくことにします。
今回は、「霊的人生観」です。
先月は、大田俊寛さんの「霊性進化論」の弊害についてご紹介しました(大田俊寛著『現代オカルトの根源』(ちくま新書)読書感想文 - 幸福の観測所「霊性進化論」について思ったこと - 幸福の観測所など参照)。大田氏の指摘では、その弊害として、

  • (1)霊的エリート主義の形成
  • (2)被害妄想の昂進
  • (3)偽史の膨張

というものがあるということでした。

幸福の科学」の説く「霊的人生観」とは

まず、「幸福の科学」の説く「霊的人生観」とはどのようなものかを整理しておきます。
公式サイトによると、

霊的人生観 永遠の生命と転生輪廻
目には見えない世界、霊界やあの世がある、という考えに基づいた人生観のことです。人間の本質は、同じ仏の光から分かれ、永遠の生命を与えられた霊・魂であり、自らの魂修行と地上ユートピア化を目的に、様々な国に幾度となく生まれ変わり(転生輪廻)をくり返しています。

という風に纏められています。ここで言う「霊界」は、所謂「多次元構造」になっている、という風に説明されます。また、「霊・魂」というのは、人にはそれぞれ魂の兄弟というのがいて、六人で一組となっており、順番に生まれてくるのだ(そしてそのうちの一人が守護霊をやるのだ)、という風にも説明されます。
しかし、この「転生輪廻」説ですが、実は、どこにも根拠がありません。「幸福の科学」信者であれば、「大川隆法が言ったことだから正しい」ということになりますが、退会者である私たちは、その前提が既に取り払われています。信じる根拠はどこにもありません。
更に遡ると、大川隆法の「霊的人生観」なるものは、先人である高橋信次の丸パクリに過ぎません。それで、「大川隆法は間違っているが、高橋信次は正しかった」と考えるような人も出てきます。ただ、それだと「高橋信次の言ったことだから正しい」と、「大川隆法」が「高橋信次」に変わるだけで、やはり、信じるに足る根拠にはなりません。
特に、霊界次元構造説と魂の兄弟説は、高橋信次が思いついただけのトンデモ説であり、決して普遍的な真理と呼べるようなものではありません。(もし普遍的真理であるならば、過去の諸聖賢たちや他国のスピリチュアリストたちも同様のことを説いている筈であるが、そういう現象は皆無である。)大川隆法はそれを信じて丸パクリし、少し自分の都合の良いように改変し、持ち前の頭の良さで合理的に補強しましたが、妄想に妄想を重ねただけであり、どこにも根拠はなく、証明するものもないことに変わりはありません。
証明どころか、近年の「霊言」の乱発・過去世認定の乱発で、逆に以前に説いていた理論との矛盾が明らかになっています。
ということで、次元構造説と魂の兄弟説は論外でしょう。
でも、「あの世があり、人間は輪廻転生する存在である」ということは否定できない、と思っている人も多いかと思います。
その辺を少し検証していきます。

前世療法の嘘

「退行催眠で前世の記憶が出てくるから前世があることは証明された」ということを信じている人もいますが、これはでたらめです。

この辺で詳述されていますが、催眠療法そのものの問題点として、虚偽記憶が作られるということが指摘されています(http://ja.wikipedia.org/wiki/虚偽記憶参照)。これは、統合失調症の症状の一つである「関係妄想」と何も変わらない状態でしょう。

アブダクションの記憶の嘘

ついでに言うと、wikipediaの記事では、宇宙人によるアブダクションの記憶なども作られた記憶である、ということが述べられています。つまり、「グレイ」などというのも、空想上の産物に過ぎません。
にも関わらず、「幸福の科学」では、「グレイ」を実在の存在として認めています。他にも、「レプタリアン」だの「プレアデス星人」だの「金星人」だの、色々なことを言っていますが、それも全部でたらめです。空想上の話を真実と思い込んでいるだけです。大川隆法がうっかり信じてしまった映画『4th kind』も、完全に架空の話です(幸福の科学を暴走させたハリウッド映画 | 破壊屋参照)。
ありもしない恐怖を煽り、「宇宙人撃退秘鍵」だの「悪質宇宙人撃退祈願」だの(三万円目安)を受けさせるというのは、霊感商法以外の何物でもありません。この部分は、私も特に許し難いものを感じます。宇宙人関連については、「洗脳」と呼んでも差し支えないのではないでしょうか。

霊的人生観の否定=唯物論ではない

大川隆法は、以前から唯物論批判を繰り返し、「唯物論は間違っている。だから、霊的人生観を持ちなさい」という風に言いますが、ここには巧妙なレトリックが潜んでいます。
というのは、唯物論の反対が(「幸福の科学」が説く)「霊的人生観」というわけではありません。逆に、霊的人生観の否定がイコール唯物論になるわけでもありません。
唯物論が間違っているからと言って、「幸福の科学」の言う「霊的人生観」が正しい保証はどこにもありません。ここには巧妙なレトリックによる誘導、マインドコントロールが隠れています。

「分からないものは分からないままにしておく」という態度が重要

さて、スピリチュアルに傾倒する人の特徴として、知らないことを知らないままにしておけないということがあります。運命や未来の出来事を知りたがったり、自分の霊的なルーツを知りたがったりする。それで、種々のオカルト思想に嵌まったり、占いに嵌まったり、ペンデュラム(ダウジング)に嵌まったりする。
しかし、これらは全て根拠がなく、デタラメと呼ぶ他ないものです。全て主観の世界・思い込みの世界であり、健全な精神の成長を妨げるものです。これらはみな、統合失調症を助長するのみです。
「知らないことを知らないままにしておけない」というのは、一種の欲望です。足ることを知らない態度です。詐欺に引っ掛かるのは、過ぎた欲望があるからです。足ることを知らない態度であるから、大川隆法のような宗教詐欺師や愚にも付かないオカルト思想に引っ掛かるのです。
それを乗り越えるためには、分からないものを分からないままにしておくことができる態度ということが必要です。
以下は『論語』からの引用です。

子曰く、「由よ、汝に之を知ることを誨えんか。これを知るを知ると為し、知らざるを知らずと為せ。是れ知るなり」と。(為政第二)

「鬼神は敬して之を遠ざく、知と謂ふべし」(雍也第六)

「未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん」(先進第十一)

オカルト思想に対して人間が取るべき必要な態度は、この辺の短い言葉に示されています。否定をするわけでもなく、軽んじるわけでもないが、敬して遠ざけておく。知らないものは知らないと言い、幾ら考えても幾ら調べても分からないものについては、分からないままにしておく、といった態度が理想的です。
この道を踏み外すことで、様々な不幸が生まれてきます。
「霊的人生観」を前提として物事を考えたり行動したりすることは危険です。基本的に、人生は一度きりであると考え、後悔しない生き方をするべきです。
「オカルト思想には百害あって一利なし」ということを、自戒を込めつつ、改めて強調しておきたいと思います。「中二病」とも似て、一生のうちでは誰しも陥りがちな罠ですが、乗り越えなければならないことでもあります。
せっかくカルト宗教と縁が切れたのに、別のカルト宗教やオカルト思想に嵌まって、また貴重な人生の時間を浪費してしまうというのは、残念なことです。

追記

以上のことは、私が退会して一年余りの間に経験したことを元にして書いています。「幸福の科学」系のオカルト思想にも惹かれましたし、「幸福の科学」以外のオカルト思想にも手を出してみました。ですから、信じたい気持ちはよく分かります。
でも、信じて痛い目に遭ったこともありますし、ペンデュラムなどは、自分で実験してその真偽や精度を確かめました。自分で「霊言」をやってみたこともあります。その結果、得た結論が「オカルト思想には百害あって一利なし」ということでした。
まあ、それぞれの人に段階というものがあるので、すぐには受け入れられない方もあるかとは思います。なので、過程として、他のオカルト思想に手を出すのもいいですが、他の人の意見なども参考にしつつ、よくよく慎重に検討すべきかと思います。

もう一つ追記

占いとかスピリチュアルとかは、確かに、一時的な気休めや癒し効果はあったりします。でも、それは一時的なものに過ぎません。緊急時には一時的な待避場所として必要な場合もあるでしょうが、その一時的な効果を得るために支払う代償の大きさを考えると、ちょっと弊害の方が大きすぎるかなと思います。
人生には、何か特別な裏技のような生き方はありません。人は、人として、他の人と同じように生きることしかできないし、そうして人並みに生きることが最善の生き方だと私は思います。

更に追記

元のタイトルは単に「霊的人生観の克服」としていたけれど、元信者であっても過激に感じられる方もあるかも知れないので、訂正しました。スピリチュアリズム普及会のような、真っ当な霊的人生観なら害はないように思います(今のところ)。まずは、間違った霊的人生観を克服し、より正しい霊的人生観を獲得することが重要です。

8/21追記

元信者のポラリスさんが感想を書いて下さいました。有難うございます。